トランプ米大統領の訪中直後に、中国政府が国内金融機関への外資規制緩和を発表した。金融資本の利益最大化を求める米国と金融改革を進める中国の思惑は一致する。
11月8日から10日にかけてトランプ米大統領が訪中した。全世界の注目を集めた米中首脳会談の成果については、北朝鮮問題への対応をはじめとして、すでにさまざまな論評が公表されている。
経済問題については、エネルギー、航空機、IT産業などの分野を中心に総額2350億ドルに及ぶ商談が成立したものの、具体的な貿易赤字削減の道筋が示されなかったことから、日本のメディアでは「習近平の貫禄勝ち」「米国の劣化を示すものだ」といった見方が大勢を占めているようだ。
トランプ大統領と習国家主席のどちらが「勝利」したのか、といったせんさくにさほどの意味があるとは思えない。しかしあえて言うなら、「グローバル金融資本」こそが、これから始まるであろう新たな米中経済関係における真の勝利者となるのではないだろうか。
ここで注目すべきは、会談の後程なくして、中国政府が国内金融機関に対する外資の出資規制緩和を公表したことである。具体的には、これまで外資による50%超の出資が認められなかった中国国内の証券会社や投資ファンドなどに対し、51%まで外資の出資を認め、3年後には規制が撤廃される。また、同様に銀行に関する外資の単独での出資比率が20%、合計で25%という上限を撤廃すること、さらに生命保険会社についても3年後までに外資の出資比率を51%まで認め、5年後には規制を撤廃することを決定した。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら