伝統ある三菱の化学系3社が4月に合併。始動した巨大な統合新会社に突き付けられた課題とは。
新年度入りして最初の出勤日となった4月3日。東京・丸の内にある三菱ケミカル本社では朝一番で発足式が開かれ、越智仁社長が社員たちに結束を呼びかけた。「世界経済が停滞する中、私たちは自らの力で成長を作り出すことが求められている。高い目標の実現には全員の知と情熱が必要だ」。
三菱ケミカルは4月1日に発足した新会社。同日付で三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の化学系3社(三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂)が合併した(図表1)。統合新会社の売上高は3兆円近くに及び、単一企業としても国内で断トツの規模を誇る総合化学メーカーになった。
ここに至るまでは長かった。三菱化学などを束ねる持ち株会社、三菱ケミカルHDが設立されたのは2005年。07年春にそのトップに就任した小林喜光社長(当時、現会長)の下で、グループは二つの課題に取り組んできた。
一つは伝統的な石油化学部門の構造改革だ。国内需要の縮小と中国勢の台頭で、汎用化学品は大幅な業績悪化に見舞われていた。小林氏はそこにメスを入れ、化成肥料や塩ビ、ナイロン、スチレンモノマーなどの赤字事業から次々撤退。さまざまな石化製品の大もとの基礎原料となるエチレンでも、業界の先陣を切って過剰設備の操業停止に踏み切った。
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