トヨタ自動車が2月に販売を開始した新型「プリウスPHV」。次世代環境車の大本命とトヨタが位置づける戦略車種だが、そのバックドアの骨格材(上写真)には三菱ケミカルの先端素材技術が使われている。旧三菱レイヨンが手掛けてきた炭素繊維複合材(CFRP)だ。
軽さと強度に優れたCFRPはすでに最新鋭旅客機のメイン構造部材にも使われているが、自動車での採用はごく一部の高級車に限られていた。部品の形に整えてから炉で焼き固めるなど、自動車メーカーにとっては成形・加工に手間がかかりすぎ、コスト的に難しかったからだ。今回の新型プリウスPHVは、CFRPを本格採用した初の普及車になる。
トヨタが採用したのは、旧三菱レイヨンが開発した新タイプのCFRP。数センチメートルに切った短い炭素繊維を特殊な樹脂にちりばめたシート状の複合材料で、プレス成形により、数分で部品に加工できる。バックドア骨格材のような複雑な形状もプレスで一体成形が可能なため、トヨタが採用に踏み切った。
4月に発足した統合新会社、三菱ケミカルが成長の牽引役として特に力を注ぐのが、こうした自動車用途の商売だ。関係事業部を取りまとめる相磯佳宏・自動車関連事業推進センター長は、「世界的な燃費・環境規制で車体の軽量化ニーズが高まるなど、ビジネスチャンスが広がっている。われわれの強みを最大限に生かし、自動車業界との取引を増やしたい」と力を込める。
相磯センター長が言う「強み」とは、豊富な商品群だ。レイヨン、化学、樹脂の3社が合併した三菱ケミカルは、いわば「素材・材料技術の百貨店」。自動車関連の主要品目だけでも内装や外板、構造部材用の各種材料をはじめ、リチウム電池材料や排ガス浄化触媒、LED照明など多岐にわたる。世界的に見ても、自動車用途で同社ほど多くの商品群を有する化学メーカーはほかにない。
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