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三陽商会の窮地 堕ちた名門アパレルの内幕

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英バーバリーとのライセンス契約が終了し苦境に陥る三陽商会。失敗の本質は、組織風土の問題である。

(本誌:菊地悠人)
写真:バーバリーの路面店だった銀座の店舗。2015年9月に「三陽銀座タワー」として全面改装しオープンさせた

[記事のポイント]

(1)アパレル大手・三陽商会が15年に英バーバリーとのライセンス契約が終了して以降、過去最大の営業赤字を計上し窮地に陥っている

(2)バーバリーから契約見直しの打診は5年前にあったが、元カリスマ営業マンの杉浦昌彦社長(当時)は危機を察知する感度に欠けた

(3)今年就任した岩田功社長はEC・直営店強化や新ブランド投入による再起シナリオを描くが、その芽が出るまで持ちこたえられるか

 

「本当は定年までいるつもりでした。私は三陽商会という会社が大好きでしたから。でも最終的に、退職して第二の人生を歩むことにしました」。穏やかな物腰が印象的な中年男性のAさんは、寂しげな表情でそう話す。彼は、三陽商会が2016年6月に発表した希望退職に応募した元社員である。

同社にとってこれは2度目となる希望退職の募集だった。13年に創業以来初となる希望退職を行った際、「英バーバリーとの契約終了を考慮したもので、最初で最後」と説明していた。約束はわずか3年で破棄されることになった。2回目は40歳以上の社員を対象に、全体の2割に当たる約250人を募集した。Aさんを含む249人がそれに応募し、12月末をもって退職した。

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