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ガス小売り自由化に東電が煮え切らない理由 電力自由化より参入少ないのは利幅薄いからか

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17年4月にガス小売りが自由化される。家庭向けで競争は起きるのか。

ガス事業で提携した東京電力エナジーパートナーと日本瓦斯(上)。東京ガス(下)は新規参入組を迎え撃つ立場だ(撮影:今井康一、大澤 誠)

家庭向け販売での新規参入企業はごく少数にとどまるのではないか──。

2017年4月に予定されている「ガス小売り全面自由化」を前に、関係者間でそんな見方が広がっている。

新規参入の大本命とみられてきたのが、発電用などで国内最大のLNG(液化天然ガス)調達量を誇る、東京電力グループだ。ガス販売を展開する東京電力エナジーパートナーは、ガス小売事業登録の申請書を8月31日付で経済産業相に提出した。

だが、その日の記者会見で、ガス事業の責任者を務める佐藤美智夫常務は、家庭向け販売の具体的な青写真は「検討中」と繰り返した。

「自由化を踏まえて家庭向けに参入したい。しかし、東京ガスが示した託送供給約款の内容や託送料金の水準では、参入は難しい」(佐藤常務)

[図表1]
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導管使用料が高い!

東電が問題にしたのが、ガス導管などの使用料(託送料金)を定めた、東ガスの託送供給約款である。家庭に直結する導管を持たない東電は、東ガスなど既存の都市ガス事業者の導管を使わなければならず、その使用料を支払う。この託送料金は経産相の認可事項で、導管の建設や補修など必要な費用を積み上げる、「総括原価方式」で決められる。

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