日銀のETF買いに振り回される株式相場 リーマンショックの外国人売りを超える規模
なぜ後場に相場が上がるのか。ファストリが高く、しまむらが低い理由は。
8月4日の国内株式マーケットは、前場と後場で様相が一変した。日経平均株価が前場の寄り付きから1%超の下落に見舞われたのを受け、日本銀行が後場に707億円のETF(上場投資信託)買いに出動。後場はプラス圏に転じてそのまま取引を終えたのだ(図表1)。
日銀は7月29日の金融政策決定会合で、追加緩和策としてETFの買い入れ枠増額を決定。年間買い入れ枠を、従来の3兆円から6兆円へと倍増させている。
買い入れ枠の増額後、1回当たりの買い付け額が最初に変化したのは、8月4日だった。7月の1回当たり買い入れ額は336億円だったが、この日から707億円に“ギアチェンジ”した。
日銀のETF年間6兆円買い越しは、はたしてマーケットに対し、どの程度のインパクトを与えるのか。比較対象としてわかりやすいのが外国人投資家の売買行動だ。
日本株は「外国人投資家が買えば上がる、売れば下がる」ことで知られている。その外国人が年間で過去最大に売り越したのは、リーマンショックが起きた2008年。この年の売越額は現物と先物を合わせて3.3兆円で、日経平均株価は年初から年末にかけ4割も暴落した。日銀のETF買いとは、この年の外国人売りを丸のみして余りある水準なのである。
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