私が西武を普通の“会社"にするまで 不祥事のグループ再編を託された銀行マン
不祥事に揺れた西武グループの再建を託された豪腕の銀行マン。幾多の困難に直面した10年とは。
それは極めていびつであった。堤義明率いる非公開企業コクドが、プリンスホテルと上場会社の西武鉄道を傘下に収めるという資本形態。2006年3月、持ち株会社・西武ホールディングス(HD)の下に2社が入る現在の形に切り替えられ、ちょうど10年が経つ。
西武HD社長の後藤高志はつい最近、ある書面をしみじみと読み返した。西武鉄道が05年12月に開催した臨時株主総会の招集通知状だ。「当時目指していたものは着実に実現されている」。そこに書かれていたのは「企業価値の向上」「コンプライアンス体制の確立」そして「上場」。どれも決して難しい目標ではない。だが、当時の西武は当たり前のことすらできない会社だったのだ。
後藤が面食らった10年間総合職採用ゼロ
「自分の頭で考えて行動を起こすのが苦手」。後藤が西武グループの社員に抱いた第一印象である。
有価証券報告書の虚偽記載が発覚し、西武鉄道は04年12月、上場廃止に追い込まれた。再建を託されたのがみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)副頭取だった後藤である。翌年2月、将来の社長含みで西武鉄道の特別顧問に転じた。
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