買収断念後の北米戦略はどうなる 崩れたブリヂストンのベストシナリオ
特集「ブリヂストンvs.米大物投資家 買収合戦全内幕」の他の記事を読む
米ペップ・ボーイズの800店を1000億円というお手頃価格で手に入れる。ブリヂストンにとってのベストシナリオは崩れ去ってしまった。実現すれば、北米で直営3000店体制とライバルを圧倒する数となっていたはずだ。
契約店を加えると、6000店体制という中期目標さえ一気に達成する理想の展開だったが、買収できなかったことで失ったものは実質的には少なく、北米投資への積極姿勢が後退するわけでもなさそうだ。
ブリヂストンの北米事業は今やドル箱だ。2015年1~9月期の営業利益は3786億円だったが、うち米州(北中南米)が1708億円を稼ぎ、国内の1386億円を上回った。通期でも2000億円を初めて超え、日本を上回ったようだ(図1)。この米州の利益のほとんどを稼ぐとみられるのが北米事業だ。00年代、グループの足を引っ張っていたのがこの地域だった。それがまさに様変わりしたのである。
ブリヂストンの北米事業は苦闘の連続だった。同社にとって「第二の創業」とされたのが1988年の米ファイアストン買収だったが、この会社の再建に長い間、苦しむことになる。まず伊ピレリとの買収合戦の末に買収金額は3300億円までハネ上がった。買収直後には大口取引先だった米GMの調達打ち切りに直面し、引き継いだ工場では94年から95年にかけて大規模なストライキが発生した。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら