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「橋下政治」が大阪にもたらしたもの ナニワを襲った大嵐の正体

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弁護士やタレントとして活躍していた橋下徹が、大阪府知事に当選したのは2008年1月。その豪腕ぶりは全国的にも注目された。大阪市長へ転じても、政治スタンスは一貫していた。「橋下政治」の軌跡を振り返る。

まさに風雲児の登場だった。2007年12月、弁護士でタレントだった橋下徹は大阪府知事選への出馬を表明し、翌08年1月27日の投開票日には次点の候補者にほぼダブルスコアの大差をつけて当選した。同年2月6日の初登庁日には職員500人に大きな拍手で出迎えられ、カメラの放列のフラッシュを浴びながら笑顔で府庁舎3階にある知事室へと入っていった。

こんな茶髪の兄ちゃんで大丈夫かいなぁ

府知事選への出馬を決めた橋下と初めて会った自民党大阪府議団の幹部は当時、「ある人から紹介された本人を見て、最初はこんな茶髪の兄ちゃんで大丈夫かいなぁと不安だった。しかし橋下の意志を確かめると意欲はあるし勉強はしているし、だったら行けるかな、と。そこで自民党本部の選挙対策責任者と引き合わせた」と語っていた。

その橋下は府知事に就任して行政改革を徹底的に進めた。職員の給与や自身の報酬をカットし、紙一枚、鉛筆一本の無駄使いも改めるよう役所に周知した。その一方、日を追うごとに大阪市の壁というものを敵対的に意識していった。港湾や道路、上下水道など大阪市域にまたがる事業を大阪府が進めようにも、現実には市が立ちふさがるからだ。「府と市の再編を目指す『大阪都構想』を提唱した背景には、このような縄張り争いによる弊害があった」(大阪府職員)ようである。

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