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生かすも殺すも 第12回

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何が企業の生死を分かつのか。スカイマークは無借金で倒産したが、巨額の負債を抱えるシャープは私的整理で破綻回避の公算。経営の巧拙だけが要因では、どうやらなさそうだ。

国が破綻企業を生かしている

藤森徹 帝国データバンク東京支社情報部長

ふじもり・とおる●メーカー勤務を経て1992年に帝国データバンク入社。倒産を専門に扱う情報部で、数多くの破綻を見てきた。(撮影:梅谷秀司)

かつては景気回復局面で倒産が増えました。たとえば1984年は倒産件数が2万件を突破し、戦後最多を記録しました。8%台だった公定歩合を大幅に引き下げる超金融緩和の結果、設備投資が増え、景気が上向いた時期です。この好況期に倒産がピークに達したのは、景気回復で銀行の収益が改善され償却能力が増し、不良債権処理が進んだから。倒産は銀行などからの借金が返せなくなるか、取引先などへの支払いができなくなるかで起こります。現実には銀行借り入れが倒産のきっかけになりやすい。

しかしこの金融倒産の定理は、2009年施行の金融円滑化法で一変しました。乱暴に言えば、借金を返さなくてもよくなったからです。経営者の手腕や景気、為替がどうであっても、経営破綻しにくくなっています。この6年間、年間倒産件数は減少の一途。リーマンショック後に倒産が増えたと思っている人が多いようですが、実は円滑化法の効果で逆に減っています。14年は9180件(前年比11.1%減)でした。本来ならおそらく、3000~4000件は多かったはずです。

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