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国内トップに就任した キリン版「半沢直樹」の実像 同期のライバルは伝説のマーケッター

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キリンの販売部門を率いる布施孝之にとって、キリンビール社長の磯崎功典との打ち合わせは日常業務の一コマにすぎなかった。2014年の12月上旬、磯崎からの突然の呼び出しも違和感はなかった。だがその日、磯崎の第一声を聞いたときは一瞬息をのんだ。「君にキリンビールの社長になってほしい」。

名門企業には経営中枢に上り詰めるための暗黙のコースがあるが、布施はそこには縁遠い存在だった。中核ではない子会社の社長から販売トップに引き上げられたのがまず異例。まして1年も経たぬうちに、国内を一手に担うキリンビールのトップになることは本人はもちろん、その周辺でさえ想定してなかった。

布施孝之 キリンビール社長兼キリンビールマーケティング社長

ふせ・たかゆき●1960年生まれ。82年キリンビール入社。大阪支社長、小岩井乳業社長などを経て現職。(撮影:尾形文繁)

特集「キリン 電撃トップ人事の舞台裏」の他の記事を読む

頭角を現したのは08年からの大阪支社長の時代である。

アサヒビールの「スーパードライ」などの攻勢で防戦を強いられるキリン。関西の営業現場ではモチベーション低下が著しかった。担当者は個人成績を維持するために最低限の仕事はこなすが、それ以上の成果はさっぱり出てこない。大阪支社に対する社内的な評判はさんざんだった。

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