沖縄の「インター」がロボコン日本一の根本理由 子どもの競争心を「伸び伸び」刺激する仕掛け

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「WRO2019 ハンガリー国際大会」の際に、最初の競技で満点を取った時のもの。世界74カ国から423チーム(小学生は92チーム)が参加し、2日間にわたって競技が行われた

「6位入賞と結果だけ見れば上々でしたが、とにかく技術力の差を見せつけられました。発想力もアプローチの方法もまったく違っていて、何をどうすればそんなレベルに到達できるのかわかりませんでした。ロボットコンテストは、まずゴールすること自体が難しい綱渡りのようなものなので、まず精度を高めたうえでスピードを上げていくんですが、世界トップは目指すレベルが相当高いところにあります。私たちも、日本大会で約1分かかっていたのを40秒までスピードアップして臨みましたが、世界トップは30秒を切っていました」

なぜそこまでの差が出るのか。佐和田さんは「個の取り組みの限界」と分析する。

「トップクラスの国はサポート体制がしっかりしています。まずは資金面。ハンガリーの国際大会に出場するのに必要な費用は1人当たり40万円でしたが、私たちは国や県、市のサポートはまったく得られませんでした。問い合わせたところ、スポーツ競技に対する補助はあるがロボット競技は対象外とのことでした」

アミークスロボットクラブは募金活動を展開して遠征費を確保したが、中には資金が足りずに国際大会を断念する子どもたちもいるという。強い興味を持ち、いくら技術や知識の習得に努めても、それを生かせないおそれがあるのだ。

「もう1つわかったのは、『教える側』、つまりコーチの教育をしっかりしているということです。日本では、私たちのようなクラブ活動やロボットプログラミングのスクールしかなく、ノウハウを共有する仕組みがありません。そのため、点の取り組みにとどまってしまっています」

学校教育がそうであるように、ノウハウを共有して好事例を横展開することは全体のレベルアップにつながる。逆にいうと、それがないロボットプログラミングは、取り組みの広がりが期待できない。資金のサポートもなく、教育体制も整っていない状況下で、どうやってロボットプログラミングに取り組む子どもたちを増やしていくのか。ただでさえデジタル人材不足が深刻化している中で、せっかく興味関心の芽があっても、育む環境がないのでは話にならない。佐和田さんは、そうした状況に風穴を開けるため、他の地域とともにロボット競技をする企画も進めている。

「今後は県内外のクラブの皆さんとロボット大会の開催などを通して、少しずつコミュニティーを増やしつつ、ノウハウを共有してお互いを高めていけるような環境をつくっていこうと思っています」

大切なのは、こうしたアクションを子どもたちのICT教育につながるムーブメントに発展させていくことだろう。「1人1台PC」が実現しつつあり、オンラインでいつでも交流が可能になった今こそ、全国の小学生が持っている興味関心の“種”を一気に芽吹かせ、デジタル力を開花させるチャンスなのではないか。

(写真はすべてアミークスロボットクラブ提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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