子どもの主体性を高める「教えない授業」の今 新渡戸文化の英語教員に学ぶ「声かけ」の極意

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「教えない授業」を実践する英語教員として知られる山本崇雄氏。25年間、公立の中学校・高等学校の教壇に立ち、2019年4月に東京都中野区の新渡戸文化学園に移籍した。現在、同学園の学校改革と、中学校・高等学校の英語授業を担当している。コロナ禍で同学園でもICT活用が進んだというが、山本氏は休校中に「教えない授業」をどのように行ったのだろうか。

コロナ禍の中、「1人1台体制」がスタート

2019年より学校改革を始動し、「自律型学習者」の育成を掲げる新渡戸文化学園。SDGsとリンクさせた教科横断型の授業など、独自の教育はメディアでもたびたび取り上げられている。この学園全体の教育デザインを手がけているのが、統括校長補佐と中学校・高等学校の英語を担当する山本崇雄氏だ。

山本氏は、教員が一方的に教える授業ではなく、生徒たち自身が対話を重ね、教え合う形で授業を進める「教えない授業」を長年実践してきた。新学習指導要領でも掲げられている「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の先駆者としても知られている。そんな山本氏の英語授業は、新型コロナウイルス感染拡大の中、どのように行われたのか。学校改革のモデル学年を含む中学校の授業展開について、話を聞いた。

山本崇雄(やまもと・たかお)
新渡戸文化小中高等学校統括校長補佐・横浜創英中学高等学校教育アドバイザー。 教員のほか、日本パブリックリレーションズ研究所主任研究員、Weblio教育アドバイザー、ゲイトCSR教育デザイナーなど複数の学校・企業でも活動する“兼業教師”。東京都立中高一貫教育校を経て2019年度より現職。「教えない授業」と呼ばれる自律型学習者を育てる授業を実践している。検定教科書『NEW CROWN ENGLISH SERIES』(三省堂)の編集委員を務めるほか、著書に『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP社)など

同学園では、コロナ禍の前からICTの活用が進んでいたようだ。

「以前から貸与式で学園にiPadを置いており、生徒たちは検索やプレゼンテーション資料の作成などで積極的に使ってきました。昨年の中学1年生の英語授業では、オンラインで生徒とフィリピンの子どもたちをつなぎ、英語による自己紹介や簡単なSDGsのプレゼンテーションに挑戦させました」と、山本氏は振り返る。

さらにICT活用を強化するため、「1人1台体制」に向け各家庭でiPadを購入してもらった。ICT支援員を置かない代わり、ICTに強い教員も数名増員。こうした準備があったため、コロナ禍による休校中も4月上旬からオンライン授業を行うことができたという。

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