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〈インタビュー〉金原ひとみさん「性加害の告発」を主題に長編小説、「個人の中に抱えきれない痛みは社会の問題として考えていくべき」

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――加害者から見える世界の描写は解像度が高くリアルですね。

ちょっと枯れた感じの50代の男性編集者は周りに多いので、サンプルはいくつもありました。ただ、自分がまったく思考回路を理解できない人物は書いていません。

例えば、自分が終わっていくことを恐れながら、抵抗する気も起きないという木戸の意識は、私も共鳴するところがありました。

時代や立場によっては誰かを搾取するようなことをしてしまっていたかもしれないと思えるような人物にしたいと思い、自分が共感できる範囲のギリギリのところを攻めていきました。

システムや環境の問題と気づいた

――作中には「自分の意志など時代や環境の中で作られていくものであって、自由意志など幻想に過ぎない」という一節があります。

性的搾取や性加害についても、20年前であれば問題視されなかったことが今は大問題になっています。でも当時の1人1人が愚かだったのかというと、そんなことはない。社会がそれを許容していたというだけのことです。

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