チケット代が5万円の公演も。密かに巻き起こる在日中国人「コメディーブーム」、知られざる源流

【2025年4月24日18時15分追記】以下、初出時の表現を見直しました。
3月上旬の雨がぱらつく肌寒い土曜日の午後、とある雑居ビルの2階に向かった。扉を開けると、中国でここ数年人気を博しているスタンドアップコメディーの公演が、まさに始まろうとしていた。
入り口で受け取ったチケットの裏面の注意書きには早速、中国らしいユーモアがあふれていた。
「よい席は早い者勝ち。遅れて入場すると、演者にツッコまれるかも」「録音・録画は禁止。写真はOKですが、きれいに加工したうえでシェアしてもらえると助かります」「上演中の飲食はご遠慮ください。万が一のどに詰まった場合、救助できるのは演出家のみで、人工呼吸を施します」
観客は十数人で、若い女性が目立つ。隣に座った中国人男子大学生によれば、「(中国の)テレビでは言えないような話」が面白いという。まもなく司会の男性が、台湾のバラエティー番組のようなくだけた語調で語り始め、会場は和やかな雰囲気に包まれた。
次々に登場するコメディアンたちは、日本での暮らしをテーマに爆笑を誘う。中国語で言う「吐槽(ツッコミ)」スタイルで、愚痴や風刺を交えた語りが続く。日本のお笑いと比べて、観客とのやりとりがはるかに多い印象だ。
この日の公演を主催したのは、とあるスタンドアップコメディー集団。所属するコメディアンは出演経験のある人で数十人。全員が本業を別に持つ兼業コメディアンだ。出演者の1人は「中国国内のスタンドアップコメディー番組を見て、面白そうだと感じ、挑戦したくなった」と話す。
主催者は中国出身のAさん。彼自身も中国発のスタンドアップコメディー番組を見て興味を持ったという。観客の構成は社会人7割・学生3割で、女性が75%を占める。年齢層は20〜40代が中心だ。
空前のコメディーブーム
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