トランプ氏は危険な世界をより危うくするのか 内を向くアメリカは第2次世界大戦前に重なる

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そもそも建国以来、アメリカは国外への関与を極力避けてきた。そのため、第2次世界大戦後、約80年続いたアメリカ主導の国際秩序維持は歴史的に見れば例外的な政策であったとの見方もある。

2013年、オバマ元大統領は「アメリカは世界の警察ではない」と語り、近年、内向き志向が強まっていた。「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ氏は、自国中心の政策を加速することが予想される。

2.0でトランプ氏は側近に1.0よりも自らに忠実な人物で固める方針だ。だが、マルコ・ルビオ国務長官候補やマイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)候補をはじめ、同盟国・友好国を重視する側近も指名した。彼らがどこまでトランプ氏の外交政策に影響を及ぼすかは不透明だ。

ただ、1.0と同じくトランプ氏のその場しのぎのトランザクショナル(取引重視)な行為によって、政策にさまざまな矛盾が生じること必至だ。

トランザクショナルで予測不能な点は、反欧米連合などに対する抑止力ともなりうる。だが、反欧米連合にアメリカは同盟国や友好国とともに効果的に対抗できず、世界情勢は混沌を極めるリスクも秘めている。

渡辺 亮司 米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長

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わたなべ りょうじ / Ryoji Watanabe

慶応義塾大学(総合政策学部)卒業。ハーバード大学ケネディ行政大学院(行政学修士)修了。同大学院卒業時にLucius N. Littauerフェロー賞受賞。松下電器産業(現パナソニック)CIS中近東アフリカ本部、日本貿易振興機構(JETRO)海外調査部、政治リスク調査会社ユーラシア・グループを経て、2013年より米州住友商事会社。2020年より同社ワシントン事務所調査部長。研究・専門分野はアメリカおよび中南米諸国の政治経済情勢、通商政策など。産業動向も調査。著書に『米国通商政策リスクと対米投資・貿易』(共著、文眞堂)。

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