トランプ氏は危険な世界をより危うくするのか 内を向くアメリカは第2次世界大戦前に重なる
現在の世界情勢を米ソ冷戦時代に喩える識者が多数いるが、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務長官を務めたコンドリーザ・ライス氏はソ連との冷戦よりも、今日は危険と指摘する。
ライス氏は19世紀末期の帝国主義や第1次世界大戦終結から第2次世界大戦勃発までの戦間期と今日の情勢を比較すべきと主張する。当時は、今日と同様にアメリカが内向き志向に傾斜すると共に国際協調体制が蝕まれていたという。
危険な国際情勢であるが、バイデン政権末期の現在、反欧米連合の特にイランとロシアは戦闘によって弱まっている。
ガザ・イスラエル紛争を通じ、イスラエルによる攻撃でイランの代理勢力のハマスやヒズボラは弱体化した。シリアのアサド政権崩壊で見られたように、イランの代理勢力の弱体化と域内への影響低下は顕著だ。また、ロシアはウクライナの領土を一部奪ったものの、軍は多数の死傷者を出し、経済も脆弱だ。中国経済も減速している。
「アメリカ主導」の80年間は例外だったかもしれない
反欧米連合が脆弱な状況下、アメリカは世界情勢への影響力拡大の機会に恵まれている。だが、トランプ氏はその機会を逃すかもしれない。1.0のように2.0では同盟国や友好国など内輪での対立も絶えない可能性があるためだ。
不動産事業に長年携わってきたトランプ氏は、世界各国との関係を「ウィン・ウィン」ではなく、「ゼロ・サム」と捉えているという。言い換えれば、同氏は世の中が勝者と敗者で分かれると見ている。
この点はバイデン政権と大きく異なる。2021年、バイデン大統領は政権発足直後、同盟国や友好国の各国首脳に対し「アメリカは戻ってきた」と伝え関係改善を図った。
トランプ復権で欧米主導の各種国際機関や国際的な枠組みは弱体化することも予想されている。
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