学校図書館に「まんが」はあり?学習系に限らず連載中の人気作品も収蔵増える 子どもが読みたい作品を置いて利用増やして

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非正規職員の場合、短期間で学校の中の人間関係を構築するのも大変で、先生たちと信頼関係を築くのにも時間がかかる。長期でひとつの図書館に携わることができる正規雇用の図書館司書を増やすことが、子どもが利用したくなる図書館づくりの第一歩だといえる。

※文科省「令和5年度公立学校における学校司書の配置状況に関する調査」結果

大切なのは子どもが読みたい作品を置くこと

子どもが読みたい本を増やす1つの手立てとして、まんがを置く学校図書館も増えている。1980年代から『はだしのゲン』や手塚治虫作品、サザエさんシリーズなどのまんがは、学校の図書館に並んでいたが、最近では『キングダム』、『ゴールデンカムイ』、『ちはやふる』など連載中を含む近年の作品や、エッセイコミックも学校によっては置かれている。

以前からまんがを読書とみなすかどうかという問題は何度となく議論されているが、現状はどうなのだろうか。

高橋恵美子(たかはし・えみこ)
日本図書館協会部会選出理事
2010年に神奈川県立高校の学校司書を定年退職、法政大学・東京学芸大学などで非常勤講師を務め2020年に退職。著書に『学校司書という仕事』(青弓社)、共著に『学校図書館とマンガ』(日本図書館協会)
(写真:本人提供)

「私自身、あるときまで司書として、まんがを図書館に置くことはダメだと思っていました。でも、まんがにもいい作品はたくさんあります。それがわかってからは、子どもが本当に読みたがっているものを置くことこそが、学校図書館の役目だと思うようになりました。そのような意識改革は私だけでなく学校司書の間で、徐々に進んでいると思います。

高校と違い、小学校では人気のまんがを置くのは難しく、まんがのノベライズという形で置かれていることが多いです。中学校は限定的、高校は環境として取り入れやすくまんがの必要性を感じて置いているところが増えましたね。そうはいっても、地方ではまだまだハードルが高いところもあります」

高校によっては、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』や石ノ森章太郎の『マンガ日本経済入門』などを入れてほしいと、先生から依頼があることもあるという。また『科学漫画サバイバルシリーズ』(朝日新聞出版)などは、小学校でも積極的に取り入れているところが多い。

「いきなりまんがを置くことに抵抗がある学校では、学校図書館に定番のまんが(『はだしのゲン』、手塚治虫作品、『あさきゆめみし』など)から入れて、愛蔵版、文庫版など、ステップを踏む必要があります。

それでもまだ、学校図書館にまんがを置く必要はないと考える学校司書もいます。日本では読書=本ですが、PISAのリーディングの考え方には、まんがを読むことも、タブレットなどスクリーンで読むことも入っています。実際にアメリカの『読書はパワー』(金の星社)という書籍の中でも、まんがを読むことはボキャブラリーを身につけるのに役立つと述べられています。

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