地域で異なる水道料金。施設の老朽化や技術者不足など、さまざまな課題も見え隠れする。
日本の水道事業は「安全な水が、24時間、当たり前に使えること」を目標に進められてきた。だが水道インフラが機能するようになると、次第に市民から意識されないものになった。
その結果水道インフラは、修繕されないまま放置され続けて孤独死寸前だ。現在、日本全国の水道は毎年約2万件の漏水・破損事故が起きている(厚生労働省発表)。これは1日に55件の漏水・破損事故が発生している計算になる。
2021年10月には和歌山県内を流れる紀の川にかかる「六十谷(むそた)水管橋」の一部が落下し、水道管が破損。6万世帯の水が止まった。さらに2022年7月15日には、大雨の影響で、宮城県仙台市青葉区の水道管が破裂。漏水により、2万世帯以上で断水や濁った水が出る状態が続いた。
先送りされる値上げ
いつまでもあると思うな、親と水道。だが、老朽化した施設の更新には費用がかかり、水道料金の値上げにつながる。それが住民の反発につながるため、政治的理由から先送りされるケースも多い。
水道料金は自治体ごとに異なる。日本水道協会の調査(2019年4月1日現在)によると、標準世帯が1カ月に使う20立方メートル当たりの水道料金は、全国で最も安い兵庫県赤穂市の853円に対し、最も高い北海道夕張市は6841円と8倍もの差がある。
なぜこんなにも差が開くのか。水道料金の決まり方を知るには、以下のような分数式をイメージするとよい。
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