ADR申請「さくら薬局」に吹き荒れる2つの大逆風 調剤報酬改定で大手調剤「受難の時代」が到来
コロナによる受診控えと調剤報酬改定による減収の中、事業再生の道とは。
業界3位で、薬学部生の就職先としても人気の調剤薬局チェーン「さくら薬局」の運営会社が、私的整理の1種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請し、業界内に衝撃を与えている。
ある若手薬剤師は不安を口にする。「大手薬局チェーンに入れば安泰、という考えはもう甘い。薬剤師が雇用の安定した仕事だった時代は、もう終わるのかもしれない」。
負債総額は500億~1000億円
事業再生ADRは、法的な手続きによらず金融機関など債権者との合意のもとで負債の返済猶予や減額をしてもらうことで事業再生を目指す債務整理の方法の1つだ。信用調査会社の東京商工リサーチによれば、2022年2月にADRを申請したのは、さくら薬局グループの中核会社であるクラフトなどの9社。なお、店舗を運営しているさくら薬局は申請企業に含まれていない。
複数の業界関係者によれば、さくら薬局グループが抱えている負債総額は500億~1000億円程度。債権者には、メインバンクである三井住友銀行をはじめ、三菱UFJ銀行などが名を連ねている模様だ。
1回目の債権者会議が開かれたのは3月下旬のこと。さくら薬局グループは、債権者らに負債の減額は求めず、支払いを先延ばししてもらったうえで返済する意向を示したようだ。この提案に債権者らは合意しており、9月に開催される見込みの2回目の会議では、策定された再生計画に向けた進捗などが話し合われると見られる。
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