稼ぐ集英社と消える書店 出版界であらわになる格差

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不況続きの出版界において、好況を謳歌する大手出版社と、取次や書店との格差が浮き彫りに。

写真:集英社に好業績をもたらした『鬼滅の刃』。積極的にマルチメディア展開を進めている

紙媒体が苦戦続きの出版業界において、大手出版社と取次(出版業界の卸売業者)・書店の間の格差が浮き彫りになっている。

「大手出版社は増益となっているようだが、書店はほぼ『蚊帳の外』だ」

ある首都圏の書店経営者はこう嘆く。

出版科学研究所によると、2020年の紙の出版物の推定販売金額は、1兆2237億円と16年連続で縮小し、ピーク時の半分以下に落ち込んだ。

大手書店チェーンである丸善CHIホールディングス(店舗・ネット販売事業)や紀伊國屋書店など書店大手の営業利益率は20年度、コストに対して満足な収入を確保できず、1%にも満たなかった。1990年ごろのピーク時に2万店を上回った全国の書店数は20年3月末に9242店となり、書店の減少トレンドは止まらない。

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取次も苦境に直面している。

業界2強の一角・日本出版販売を擁する日販グループホールディングスの売上高は21年3月期に5210億円だったが、20年前と比べれば30%以上落ち込んでいる。しかも、売上高の大半を占める出版関連事業の営業利益率はわずか0.3%にすぎない。日販のライバル・トーハンも、業績の下降トレンドから抜け出せずにいる。

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