電力の安定供給の確保を目的に創設された容量市場が高値入札に揺れている。制度設計に誤算はなかったのか。
電力の安定供給の確保を目的として創設された「容量市場」。2020年7月に実施された1回目の入札で予想外の高値がつき、自由化で電力小売事業に参入した新電力会社から「高値入札により容量拠出金の支払額が高額になったことで、事業の存続を脅かされる」という声が相次いでいる。専門家の間からも制度設計の不備を指摘する声が上がり、制度の手直しが急務となっている。
日本卸電力取引所が運営する「卸電力市場」では、「1キロワット時(kWh)当たり○○円」といった形で電力の量(キロワットアワー価値)が売買されている。これに対し、容量市場では、将来のある時点での「供給力」の価値(キロワット〈kW〉価値)が取引される。供給力とは、火力発電所や原子力発電所などを稼働できるようにしておくことによって確保される発電能力のことだ。
利用者の負担増にも
電力自由化や再生可能エネルギーの導入拡大とともに発電された電力の価格が低迷し、発電設備(電源)の投資が滞ることで電力供給が不足しかねない。そうした事態を避けるために容量市場はスタートしたが、前述した1回目の入札結果は、入札上限価格に迫る1キロワット当たり1万4137円という高値となった。
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