米国の株式市場に上場する約250社の中国系企業に巨大なリスクをもたらすニュースが7月14日報じられた。中国証券監督管理委員会(証監会)と中国財政省が、米国の上場企業の監査法人を監督する公開会社会計監査委員会(PCAOB)と2013年に結んだ「覚書」を、トランプ政権が一方的に破棄する方針だとロイター通信が伝えたのだ。
米国のいら立ちの背景には、中国系企業の会計監査をめぐる米中証券監督当局の見解の相違がある。米国は長年、中国系企業の監査に携わる中国本土の監査法人への立ち入り調査や、監査記録の原本の提出を要求し続けてきた。これに対して中国は、立ち入り調査は中国当局の監督下で行うことを求め、監査記録の中で国家機密に触れるものは提出できないとの立場を譲らなかった。
相違点を残した妥協案として結ばれたのが13年の覚書だった。その取り決めに基づき、証監会はこれまでに中国系企業14社の監査記録の原本を、米証券取引員会(SEC)とPCAOBに提供した。しかし最近の米中関係の悪化に加え、今年4月に発覚した瑞幸咖啡の不正会計事件が、中国系企業の経営の透明性に対する米国の懸念を増幅した。
覚書の破棄は、PCAOBが中国のカウンターパートとの協力を放棄することを意味する。それは米国での中国系企業の上場廃止に直結しかねない。
(財新記者:岳躍、原文の配信は7月14日)
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