中国半導体の雄に先端設備調達リスク 米国の輸出規制が悪影響を及ぼす可能性

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中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は7月6日、投資家向け説明会を開催した。ひときわ注目を集めたのが、同社のEUV(極端紫外線)露光装置の調達計画に関する質疑応答だった。SMIC董事長(会長に相当)の周子学氏は、「現時点での生産や研究開発にEUV露光装置は必要ないが、調達計画に変更はない」と説明した。

SMICが将来、回路線幅7ナノメートルや5ナノメートルの製品の量産を実現するには導入が不可欠になる。現時点でEUV露光装置を実用化できたのは露光装置世界最大手の蘭ASMLしかなく、生産台数は年間30台に満たない。このため、世界中の大手半導体メーカーが先を争って発注している。

実はSMICもすでにEUV露光装置を発注しており、当初は2019年末に納入される予定だった。しかしまだ実現していない。最先端の露光装置の輸出にはオランダ政府の許可が必要であり、ASMLは19年11月に「政府の承認を待っている段階だ」と明らかにした。

外国製の最先端設備や原材料の調達リスクこそ、上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」へ7月16日に上場したSMICについて投資家が最も危惧するポイントだ。中でも米国政府が中国企業に対する輸出規制を強めていることは、同社の経営に予想困難な悪影響を及ぼす可能性が否定できない。

(財新記者:屈慧、原文の配信は7月6日)

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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