近年、証拠に基づく政策立案(EBPM)の重要性が唱えられている。ところが、行政や立法を担う政策当局者や研究者らの役割分担がうまくいっていないという指摘がある。
政府は、各府省の責任者である政策立案総括審議官らと研究者によって構成される「EBPM推進委員会」を設置している。ここでは、政策の拠って立つ論理を「ロジックモデル」という形で明確化し、これに即してデータなどの証拠を可能な限り求める取り組みを進めている。集めた証拠を政策の再検討につなげるという循環を通じて、「政策の基本的な枠組み」を明らかにすることを目指すのだ。
筆者は行政の側から、EBPMの具体的プロジェクトに関与した。また、公益財団法人東京財団政策研究所でのプロジェクトの1つとして「政策知見に関するデータベース」の作成を提案し、最低賃金引き上げの影響を分析できる試行版を公表した。
このデータベースは、日本の経済政策の効果に関するこれまでの知見を相互に比較・検証可能な形で1カ所に集約するものである。作業の過程において研究会を開催し研究者からアドバイスを得た。
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