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「改善状況をチェックする第三者機関が必要」 特別調査委員会アドバイザー 出口治明

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特別調査委員会アドバイザー 出口治明
でぐち・はるあき 1948年生まれ。2006年ライフネット生命保険を設立(12年上場)。18年1月から立命館アジア太平洋大学学長。(撮影:今井康一)

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僕がいちばん驚いたのは、日本郵政の経営陣がグループのビジョン(将来像)を今までに検討したフシが見えないことだった。

コーポレートガバナンスはチェック・アンド・バランス(権力の抑制・均衡)ばかりが問われがちだが、それは本質ではない。明確なビジョンを示したり、ビジネスモデルを構築したりするのが大前提だ。当たり前のことを日本郵政の経営陣は真剣に行ってきたのだろうか。

将来のビジネスモデルが描けていない中で、つじつま合わせのような事態収拾を行っているように見える。かんぽ生命保険やゆうちょ銀行からの手数料というミルク補給なしに、日本郵便がやっていけるビジネスモデルを構築しなければ、郵政グループ全体がおかしくなる。

情報漏洩は恥ずべき行為だ

日本郵政はコンプライアンスを「法令順守」と捉えているようだが、僕は昔からそうではないと思っている。コンプライアンスは「法に触れなければいい」ということではなく、組織内の行動がすべて外に出ても恥じるところがないことだ。人に知られて恥ずかしいことは、言っても、やってもいけない。

営業現場の録音・録画は、証拠を集めて社員を責めるためではない。誰に知られても恥ずかしくない営業を行うように仕向けるための1つの工夫だ。

鈴木茂樹・総務事務次官(当時)から、行政処分の議論の内容が日本郵政の鈴木康雄・上級副社長に漏れていた。これは他人に知られて恥ずかしくない行為だろうか。僕は職業人としての倫理を疑う。裁判官が判決を言い渡す前に量刑を被告に漏らすだろうか。そう考えたら、事態の異常さがわかるのではないか。

郵便制度は国民の重要なインフラだ。日本郵政には今回の事件をきっかけに立ち直ってほしい。そのためには改善状況をチェックする第三者機関の設置が不可欠だと考える。

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