終わらないオリンパス事件 重視されなかった「偽筆」
「粉飾の指南役」とされた元証券マンは再審請求の準備に余念がない。
過去の粉飾決算に絡み、総額約881億円を支払うようオリンパスと株主が旧経営陣に損害賠償請求をした訴訟。東京高等裁判所の阿部潤裁判長は5月16日、菊川剛元会長、山田秀雄元副社長、森久志元副社長に594億円を連帯して支払うように命じた。
菊川元会長、山田元副社長、森元副社長ら旧経営陣は、連結対象にはならないファンド(以下、受け皿ファンド)に自社の保有する金融資産が抱えた巨額の含み損を飛ばしていた。この簿外損失を勘案すると、当時の配当金は分配可能額を超えていたというのが、阿部裁判長の結論だった。
旧経営陣の責任を追及する刑事事件は2013年に東京地方裁判所の判決で確定している。菊川元会長と森元副社長は懲役3年(執行猶予5年)、山田元副社長は懲役2年6カ月(同3年)と、はじめから容疑を認めていたことで執行猶予がついた。
オリンパスの粉飾がらみ裁判はこれで一段落したかに見える。だが、一部で再審請求の動きがあり、予断を許さない状況だ。
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