ブルネイといえば、同性愛行為への石打ちによる死刑が国際的な批判を浴びたが、その実情はあまり知られていない。その全盛期は16世紀ごろまでさかのぼる。ボルネオ島全島を支配していたようだが、19世紀後半には英国の保護下に入り、1984年にその支配から脱却した。実は新興国家なのだ。
国王は宗教上の権威を持ち、国政全般を掌握(現在も国王が首相、国防相、財務経済相および外相を兼任)している。国の体制としては、国王独裁ともいえる。一方で、石油・天然ガスによる収入があり、経済水準は高い。税金なども免除され、社会福祉も充実しているため、ある意味で「君主独裁型の高度社会主義国家」だと感じる。
それを示す例として、毎週金曜日の12時から14時は、祈りの時間に当てられている。国民の80%がイスラム教徒であり、この政策は厳格に守られている。官庁や学校はもちろん、公共交通機関、小型の商店・食堂まで例外なくすべてが閉鎖され、この時間帯、街には人っ子一人いなくなる。外国人旅行者には迷惑な話だが、ある種壮観な光景ですらある。
道路を渡る際も、車が歩行者を優先するなど、人々にはつねにゆとりが感じられる。ブルネイ人がこの国について「酒も飲めず、ナイトライフもなく、正直退屈だが、その退屈が極めて平和な場所を生み出している」と言うのに、思わずうなずいてしまった。
いわゆる3K(きつい・汚い・危険)労働などは、隣のマレーシア人をはじめ、島伝いに来るフィリピン人、同じイスラム系のインドネシア人など外国人労働者が担っている。
華僑も19世紀にこの地に大量に流れ込み、今でも華僑は商売などをしているはずだが、鳴りを潜めている印象だ。旧正月の爆竹は禁止され、マレーシアのように街に漢字の看板があふれることもない。他の東南アジアと異なり、華僑に経済的な優位性がないとみることもできる。
迫り来る中国マネー
しかし近年、中国の影がちらつき始めている。習近平国家主席も2018年11月にこの地を訪問した。
ブルネイの将来は石油などの資源がいつまで続くかにかかっている。脱資源は独立以来の課題だが、その試みはなかなかうまくいかない。あるブルネイ人は「われわれは現時点で中国マネーを必要としないが、脱資源ができなければのみ込まれかねない」と危機感をあらわにする。
資源輸入で密接な関係にある日本だが、ブルネイへの関心度は極めて低い。今後は中国の動向も意識しつつ、ブルネイ情勢を見守っていきたい。(東えびす)



















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