「死ぬときぐらい好きにさせてよ」。読者に死生観を問いかけた出版社の企業広告が印象的だった樹木希林さんの旅立ち。がんとともに10年以上暮らしながらも、亡くなる前々月まで仕事を続けた。マネジャーを持たない希林さんは仕事の依頼はすべて自宅のファクスで受け、料金交渉からスケジュール管理まで一人でこなし、撮影現場には最後まで自身で車を運転して向かっていた。わが道を貫き通す強さには驚きである。
希林さんのしなやかな様子に、自分もああなりたい、いや自分には無理だ、とその時に直面する自身の姿に思いを巡らせた人も多かったのではないか。希林さんの生き方の確かな魅力の一つは、がんという病を患いつつも、健康寿命を全うした、ということではないか。
人生締めの12年 日常生活に制限も
2000年にWHO(世界保健機関)が提唱して以来、心身ともに自立し、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間、いわゆる「健康寿命」をいかに延ばすかが問われている。平均寿命と健康寿命の差は、日常生活に制限が生じる期間を意味し、16年において男性8.84年、女性12.35年だったそうだ。
日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳(17年時点)。女性は人生最後の約12年、望まない質の生活をしなくてはいけないかもしれないと想像すると、正直気がめいる。希林さんの場合は、がんを患っていてもこれがほぼゼロ。健康寿命を全うできたことで、多くの人が理想のエンディングと感じたのではないか。
厚生労働省のスタンスは従来の治療重視から予防重視へと移行しつつある。最近、通院中の歯科医院からは点検通院の頻度を上げることを勧められた。18年の診療報酬改定で予防の点数が大幅に引き上げられたことが要因だろう。
日本ではかなりの人が、痛みや不具合が生じてから歯科医院に行くという。一方、米国では国民皆保険制度がなく治療費の負担が大きくなるためか、ほとんどが検診・メンテナンス目的で来院している。検査、クリーニングに定期的に通うことで、大事に至らず治療費を最小限に抑えている。
虫歯および歯周病に代表される歯科疾患は、食生活や社会生活に支障を来し、ひいては、全身の健康に影響を与えるものとされている。年齢を重ねたら総入れ歯が当たり前という先進国は日本だけらしい。
自分の体を意のままにコントロールできる人はいない。現役のうちから寿命=健康寿命を目標に、定期的にプロに身を任せて予防に労力を注ぐことは、最後の1日まで他人任せにしなくて済む生き方への助走にはなるはずである。
(相思葉)






















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