やっとみつけたテレビの活路 集中連載|SONY 静かなる再興 第1回
20年ぶり最高益のソニー。復活を支えたのは大赤字を続けたテレビ事業の改善だ。静かに再興の時を迎えつつあるソニーの実像を連載で追う。
ドイツ・ベルリンにある欧州最大の家電量販店チェーン、「Saturn(サターン)」。8月下旬、テレビ売り場では、韓国のサムスン電子とLGエレクトロニクスがエスカレーター前の“一等地”に陣取り、圧倒的な存在感を放っていた。だが、大型の高額品では日本のソニーも目立っていた。
看板商品、「ブラビア」ブランドの4K対応有機ELテレビは、55インチが約2100ユーロ(約28万円)。有機ELテレビの先駆者、LGの製品より3割近く高いが「LGより売れるときもある」(店頭販売員)という。売り場で品定めしていた40代のドイツ人男性はこう語る。「ソニー製テレビは高価だが、格好よさでは一番。このテレビで(ソニーが展開する家庭用ゲーム機)『プレイステーション(プレステ)』ができたら最高だね」。
ソニーのテレビ事業は欧州が最大市場だ。が、その欧州で2012年、テレビのシェアは数%まで落ち込んだ。ソニーのテレビ事業全体が苦戦する中、特に欧州で辛酸をなめた。それが現在、金額シェアで10%台にまで回復。「55インチで2000ユーロ以上といった高価格帯の市場では、ソニーの有機ELテレビが圧倒的に首位」とソニー・ヨーロッパの粂川滋社長も自負する。高価格帯の好調により収益性も大幅に改善した。高級ブランドとして、ソニーは息を吹き返しつつある。
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