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中国はなぜ北朝鮮に甘いのか 「損をするのは中国人の側だ」

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経済制裁が効くかどうかのカギを握る中国。だが、制裁強化への腰はなぜか重い。

(一般財団法人霞山会研究員、愛知大学国際問題研究所客員研究員●堀田幸裕)

写真:中国・丹東市から北朝鮮の新義州に臨む中朝友誼橋。制裁の影響で通行量も変わる

「今度の決議を、中国はいつから実施するだろうか」。今年8月中旬、北朝鮮北東部の港町・羅先(ラソン)を訪れた。国連安保理(安全保障理事会)決議2371が採択された直後であり、北朝鮮が制裁決議で最も気にしていたのは、このことだった。

8月6日に採択された安保理決議2371は、これまでの制裁決議と大きな違いがある。安保理決議2270以降、北朝鮮からの輸入禁止品に指定されたのは主要な外貨獲得手段であった鉱物資源が主であり、中国側では比較的大手の企業が関与するケースが多い。

だが2371で新たに輸入禁止品に指定された海産物は、羅先地区でも中国の個人事業者による投資が活発に行われていた。そのため、彼らの関心も強かったのだろう。しかしこの制裁による影響について聞くと「今回の制裁で損をするのは中国人の側だ」という明快な回答が返ってきた。

1979年に旧ソ連の支援で製油加工施設として設立された羅先市の勝利化学工場の正門

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勝利化学工場に隣接する給油所

「損をするのは中国人の側だ」

2371の採択からわずか8日後、中国商務部は公告を出し中朝間の海産物取引を中止、そのため羅先と中国吉林省・琿春(こんしゅん)を結ぶ国境の橋では通関できなくなった冷凍貨物トラックが立ち往生し、中国人業者が「朝鮮への制裁は前提として、中国公民が損失を被らないように保護すべきだ」と横断幕を広げて抗議する騒ぎも出た。事実、短期的に見て損をしたのは中国人商人だったのである。

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