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IS掃討後も混沌続く中東 クルド人勢力が新たな火種に

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「IS(イスラム国)」の敗退が明らかになりつつある。だが、クルド人に独立の動きがあるなど、中東の今後は一層の混乱が懸念される。

(放送大学教授●高橋和夫)
写真:ISが首都とするシリア北部の都市ラッカの陥落は、時間の問題だ

中東での「IS(イスラム国)」の軍事的な後退が続いている。

7月上旬、ISが支配していたイラク第2の都市モスルが、イラク政府軍などによって3年ぶりに解放された。シリアでもISは追い詰められつつある。ISが首都と称するラッカには、同じく7月上旬にクルド人を主体とする部隊が突入した。陥落は時間の問題とみられている。イラクでもシリアでもIS後の風景が視野に入ってきた。

だが、IS掃討が実現しても、混乱が収拾する気配はない。イラクの今後には、三つの難題が待ち受ける。第一に北部のクルド人の支配地域と中央政府の支配地域の線引きの問題である。第二にイスラム教スンニー派の取り扱いである。第三にクルド人の分離独立傾向である。

IS敗退後に再燃するイラク北部での対立

イラクでのISの敗退は明らかだ。勝者はもちろんイラク中央政府だ。しかし、それだけではない。北部からISを攻撃したクルド人の力も無視できない。現在のイラク北部はクルディスターン自治政府の支配下にある。クルド人の政府である。この自治政府と中央政府の間には、つねに対立がある。それは、クルド人の自治地域と中央政府の支配地域の線引きに関してである。アラブ人とクルド人の混住地域が、どちらの支配下に入るべきかとの問題である。

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