パナソニックの復活劇に陰りが見える。10兆円の売り上げ目標は撤回、今期は減益計画。赤字事業の数も増えている。踊り場を突破できるのか。
「10兆円の目標を立て、舌の根も乾かぬうちに撤回するのか、という指摘はごもっとも」──。
6月24日に開かれたパナソニックの株主総会では、株主からの「成長戦略が見えない」という指摘に対し、こう答える津賀一宏社長の姿があった。同日、津賀社長再任の可否を問う議案が諮られたが、賛成比率は66%。過去3回の賛成比率がすべて8割以上だっただけに、その低下が目立つ結果となった。
今は昔、2011年度と12年度に計1兆円以上の最終赤字に沈んだパナソニックは、津賀社長の舵取りで営業利益3500億円という13年度〜15年度の中期経営計画を1年前倒しで達成(図表1-下)。苦境の東芝やシャープを尻目に、V字回復の成功例という印象を世間に広めた。
しかし、それも過去の代物だ。今年3月には18年度売上高10兆円の目標を撤回。今16年度については期初から減益計画とした。
津賀社長は、今年度は成長投資のための前向きな減益であると訴えたが、思いは届かず、投資家は失望売りに走った。株価は1年前の約1700円から1000円割れにまで下落。その帰結が、冒頭の株主総会における津賀体制への“不信任”だったといえる。
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