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今は「リーマン前夜」ではなく「平成バブル前夜」 拝啓 安倍首相殿

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選挙目当ての消費増税再延期で「今はリーマンショック前夜」というストーリーを使うことすら画策した安倍晋三首相。財政再建なきまま景気を吹かせば、平成バブル以上に恐ろしい最後の崩壊が待っている。

「増税したくない」病が残す禍根

現在が1980年代後半~90年の、いわゆる「平成バブル」の前夜に似ていると言ったら驚くだろうか。低成長に苦しむ日本経済が、あんな高成長の時代に戻るなんてありえないと思うのが一般的だろう。

しかし、その可能性は十分ある。バブルはそもそも経済が強いときに起こるのではない。経済が弱く、不安的なときに起きる。実際、平成バブルが発生する前の80年代前半~半ば、日本経済は石油危機以来の長期経済停滞が叫ばれ、バブル発生直前には円高不況も起きていた。

「リーマンショック並みの危機でないかぎり、2017年4月の消費増税は断行する」。そう公約していた安倍首相は6月1日、「現時点でリーマン級のショックは発生していないが、これまでの約束とは異なる新しい判断だ」として、財政緩和に等しい消費増税再延期を表明した。平成バブル前夜と現在の類似点は何か。そこから今回の判断がどんな禍根を残すのかを読み解いていこう。

バブル生成の背景にいつもあるドル不安定

時計の針を31年戻した85年9月、ニューヨークで開かれたG5(主要5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)でプラザ合意が発表された(図1)。その内容はドル高是正であった。

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