原油相場は下げ止まる気配がない。2016年に入ってからの原油価格は、14年半ばの急落時と似たような下降局面に入っている。14年前半に1バレル=100ドル台だったWTI先物価格は、1月半ばには30ドル以下にまで下落した。
原油1バレルの価格が7割下落すると、年間3兆ドルという資金が石油生産国から石油の消費者に移動するといわれる。当然これほどの価格下落となれば、大きな痛手を被る国が出る一方、富を得る国も出る。
おそらく最も痛手を被っている国は、アゼルバイジャンなど中央アジアの国々だろう。国際通貨基金(IMF)の職員は今、アテネではなく、アゼルバイジャンの首都バクーに向かっているはずだ。これら旧ソ連の石油産出国はロシアとの貿易に依存し、そのロシア経済が原油安に直撃されているからだ。
逆に原油安の恩恵を受けているのが、原油輸入国であるギリシャやイタリア、スペイン、ドイツといったユーロ圏の国々だろう。これらの国々では、輸出先である新興国の景気減速が経済の足かせになっているが、原油安に伴うエネルギー費用の縮小が成長を下支えしている。
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