山手線と京浜東北線「並走区間」で速いのは? 品川-田端「同時出発」ダイヤを徹底分析
しかし、朝の時間帯に山手線が速く到着するのは3本だけにとどまり、品川→田端とは様相が違う。
その後は、再び京浜東北線のほうが1~3分速いという状態が続く。夕方のラッシュ時は両者同着というダイヤが目立つが、それが終わるとまたもや京浜東北線が優位だ。両者が同時に田端を出発するのは23時30分が最後。京浜東北線の品川到着は23時55分、山手線は23時56分だった。
田端→品川に関しては、山手線と京浜東北線が同時に田端を出発する77本のうち、品川に同時に到着するのは15本、京浜東北線のほうが1分速く到着するのは28本、2分早着が24本、3分早着が7本。
逆に山手線のほうが1分速く到着するのが3本という結果になった。京浜東北線の圧勝だ。平均所要時間は京浜東北線が26分5秒、山手線が27分16秒。京浜東北線のほうが平均して1分強速かった。
なぜ、同じ区間の上り(内回り)と下り(外回り)でここまで差が出るのか。車両の性能の違いなのだろうか。あるいは山手線に関していえば内回りより外回りのほうが距離が長いといった物理的な側面が影響しているのだろうか。
品川―田町間で京浜東北線が減速?
要因の1つになりそうなユニークな事例がある。
鉄道をテーマにした青春小説『ロスト・トレイン』(中村弦著、新潮文庫)に次のようなシーンがある。主人公が探していた人を品川駅の通路で見け追いかけたところ、その人は階段を下りて3番線ホームに停車中の京浜東北線の上り電車に乗った。主人公が階段を下りきる前にドアが閉まり、列車は田町方面に発車してしまった。
しかし、主人公は階段を駆け上がって隣の1番線ホームに移動し、停車中の山手線内回り電車に乗る。山手線が次の田町駅に到着したとき、ホームの向かい側に京浜東北線が止まっており、無事、目指す列車に乗車できた。
追いつくはずのない列車に追いつくという、西村京太郎ばりのミステリーだが、この本では、種明かしもされている。
京浜東北線の上り方面の線路は、品川ー田町間でオーバークロスする形で山手線の内回りと外回りをまたいでいる。その高架を通過するときに京浜東北線は山手線よりも速度を落とすため、先発の京浜東北線に田町駅で追いつくことができるというわけだ。
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