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ネクステージの行政処分で問われる損保業界の悪しき慣習、生かされなかったビッグモーター問題の教訓

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損保各社としても、便宜供与の一環として事故車をネクステージにせっせと入庫誘導(紹介)していただけに、顧客被害の早期回復に向けて、追加調査の圧力を一丸となって強めていくべきだろう。

これだけでもBM問題を想起させ、既視感が存分に漂うが、行政処分に至った理由は不正請求の疑義だけではない。

金融庁が発表した行政処分の公表資料
行政処分の公表資料には「犯罪行為やコンプライアンス違反行為が継続的に発生」という、にわかには信じがたいネクステージの惨状がつづられている(記者撮影)

東海財務局は、ネクステージの経営陣が保険事業の重要性を認識しておらず、保険販売のルールを定めた保険業法の知見が欠如していると指摘。また、適切に保険販売が実施されているかを確認しておらず、内部監査についても本来の役割を果たしていないため、保険事業のカバナンスが機能不全となっていると厳しく追及している。

経営側がそうした無秩序な状態であるため、現場では顧客に対して何らの理由説明もないままに、特定の損保の自動車保険を平然と推奨し契約させるという、ずさんな募集行為が横行していた。これは保険業法の情報提供義務に明らかに違反する行為だ。

目も当てられない現場の惨状

しかしながら、現場の社員は「推奨の理由なんて説明する必要があるんですか、というレベルの人が大半だ」と、ネクステージ関係者は声を潜める。

さらには、東証プライム上場企業でありながら、クレジットカードの窃盗による不正利用や社内備品の横領といった犯罪行為やコンプライアンス違反が継続的に発生している。そして、こうした行為への対応により、「保険事業の運営及び管理に人的資源を十分に配分できていない実態にある」(同資料)というから驚きだ。BMと同様に、保険代理店としての登録を取り消されても文句が言えないような経営の実態といえる。

そうした惨状にあるネクステージに対して、損保各社はこれまでどう対峙してきたのか。東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手4社に取引実態などについて尋ねる質問状を送ったところ、見えてきたのはBM問題のときと同じ轍を踏もうとしているような実態だった。

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