初の生え抜き社長が登板、再生を期す日本ユニシス

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 まず、得意とする金融機関向けの基幹系システムでは、新しい顧客に入り込む。基幹系以外のサブシステムでは、既存顧客を深掘りする。ハードを持たないシステムベンダーで、コンサルティングからシステム構築、運用・サポートまで、一貫してできるところは多くない。金融や航空システムといった、ミスの許されない分野で実績もある。特定のハードに依存しない、顧客の既存環境に対しマルチベンダー対応ができる点も、既存のITインフラとクラウドを統合するうえで、強みになる。

サービス強化も重要施策の一つ。ユニアデックス、ネットマークスといったサービス会社を買収したのはその一例。09年度後半から地銀共同システムの受注を開始し、すでに数行で運用を開始している。

11年2月からは、ユニシスの勘定系システムと、野村総合研究所のネットバンキングとの共同提案も始動した。実績にはまだ結び付いていないが、中期的な需要が見込まれる分野であり、今後もM&Aや戦略提携など積極的に取り組む考えだ。

家電量販店を手始めに、流通向けのポイントサービス支援なども始動している。さらに、まったく新しいビジネスとして取り組んでいるのが、電気自動車(EV)の急速充電網の構築だ。すでに東名高速道路に15カ所設置したが、主眼は設備ではなく、課金システムやドライブレコードを含むネットワークと運用サービスだ。今後は大阪から東北エリアにまでネットワークを広げていく。

クラウドサービスを支えるバックグラウンドも抜かりなく準備中だ。12年1月には福井県小浜市の堅牢な地盤の上にクラウド型のデータセンターを開設する。今後、詳細な戦略を詰め、年内にも新しい中期計画をまとめる。「数年の内には売上高3000億円復帰を目指す」(黒川社長)。そのためにも、今年度の売上高2550億円は必達目標。名門復活への試金石となる。

日本ユニシスの業績予想、会社概要はこちら

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(小長洋子 =週刊東洋経済2011年10月15日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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