琉球銀行は「再編」も「持株会社化」も念頭にない 川上康頭取「合併は利用者の選択肢を減らすだけ」

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琉球銀行と沖縄銀行は2021年、一部の業務について提携した(記者撮影)

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貸し出し規模、預金量で沖縄県内シェア首位の琉球銀行。ライバルの沖縄銀行は2021年10月に持ち株会社「おきなわフィナンシャルグループ(FG)」を創設した。琉球銀行の川上康頭取は「琉球銀行にFG化の必要性はない」と言い切る。沖縄経済の長年の課題だった「ザル経済」の解決策や「観光業一本足」とされてきた産業構造の今後について川上頭取に聞いた。

 

――ライバルの沖縄銀行は2021年10月に「おきなわフィナンシャルグループ」を設立しました。狙いは業務領域の拡大とガバナンス強化だといいます。琉球銀行としてはどうみていますか。

2021年に施行された改正銀行法によって、金融機関は業務領域を拡大できるように既になっている。ガバナンス強化について当行は独自に進めてきた。

私が頭取に就任して以降、連結会社で他社の出資を受けていた企業については100%子会社化した。2025年に完成する新本店には、これまで外にあった関連会社をすべて入居させる。個人情報を除き、あらゆる情報をシームレスに共有し、連携できる体制を築いてきた。FG化の必要性はない。

――おきなわFGとは2021年に「沖縄経済活性化パートナーシップ」を結びました。その意図は?

長引く低金利で金融機関の稼ぐ力が弱まっている。コスト削減ができ、かつ県民の利便性向上に繋がる領域であれば、競争せずに一緒にやりましょうという判断だ。

代表的なものが相続業務。琉球銀行と沖縄銀行で、相続に必要な提出書類が違っていたため県民から不満の声があがっていた。そこで相続業務では手を結んだ。コスト削減になるだけでなく県民の煩雑さも解消される。相続については沖縄海邦銀行やコザ信用金庫など他の金融機関とも一緒にやれないか、目下模索している。

――低金利や人口減少に伴い地銀再編の機運が高まっています。おきなわFGとのパートナーシップ締結は再編の布石と見る向きがあります。

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