TOTO、60万円超「究極トイレ」が世界で売れる理由 デザイン性を最重視した製品で欧州巻き返し

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TOTOの業績が好調だ。販売が拡大しているウォシュレット付き便器「ネオレストNX 」には、デザイン性と機能性を兼ね備えるためにあらゆる技術が詰め込まれている。

空間全体でのデザイン性にもこだわったネオレストNX(写真:TOTO)

「TOTOのウォシュレット(温水洗浄便座)が納品されず、建てた家の引き渡しがずれ込むことになった。TOTOショックだ」

あるハウスメーカーの担当者がため息をつく。8月下旬、ベトナムの取引先から調達していた日本向けウォシュレットの部品が現地のロックダウンで入荷できなくなり、納期遅延が発生。影響は同社のみならず、ほかの住設機器メーカー、ハウスメーカーなどにも広がっていった。

TOTOはある意味で最大の”被害者”でもあるが、清田徳明社長は、「もともと中国とベトナムから調達していた部品を、中国のロックダウンで一時的に全量ベトナムからの調達に切り替えた。そこに(ロックダウンの)直撃を受けた。国内で調達することも検討していたが、間に合わなかった」と悔やむ。

11月から徐々に回復に向かってはいるが、通常、当日あるいは翌日の納期は、商品によっては1~2カ月程度と、大幅に遅れている。

TOTOでは、納期遅延表面化以前からサプライチェーンの再構築を進め、調達先の複数国化や在庫水準の引き上げを検討してきた。「どの部品をどのタイミングでどれだけ持つか、ひとつひとつ検討を進めている。これは全社的に取り組まなければならない課題だ」(清田社長)。

「赤字続き」の欧州向けに放った策

このサプライチェーンの見直しとともに、TOTOでいま、課題になっているテーマがある。「デザイン」だ。

デザイン性に優れた高付加価値商品は利益率も高く、TOTOの業績を牽引する。同社の22年3月期の通期業績の見通しは売上高6500億円(前期比12%増)、営業利益500億円(同26%増)と好調が続く。

だが、デザインが最もカギを握る欧州市場では2008年の進出以来、まだ一度も黒字化を果たしていない。

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