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製造派遣で理想を追求 地獄を見た男の逆転人生 UTグループ社長 若山陽一

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製造派遣で早くから「全員が正社員。社会保険に完全加入」を実践してきた。経営では絶頂とどん底を経験。高校時代には死線をさまよったこともある。

メーカーに作業員や技術者を派遣する製造派遣業は、景気や相手先企業の動向に翻弄される。先方が生産を縮小すれば、派遣元は人員を減らさざるをえない。それが「派遣切り」だ。時に社会問題化し、指弾される。

そうした業界にあって、UTグループは社員を正社員として雇い、相手先企業に送る。キャリア形成も積極的に行ってきた。たとえば、現場で仕事を覚えてチームリーダーを務める社員がマネジャーに「エントリー」する制度がある。高校中退後、時給900円で派遣された男性がこの階段を駆け上がり、現在は執行役員に就いている。

UTグループは創業24年、売上高817億円、営業利益51億円の業界大手に成長した。毎月約1万人の応募者があり、半数を面接して1000人を採用する。製造派遣では業界一の成長率だ。創業者の若山陽一(わかやま・よういち、47)は、こう語る。

「一般の派遣で働く人は職場の1年先も見通せず、情報もない。孤立しています。だけど、先輩が後輩にスキルを教え、学び、高める循環ができれば、誰でも将来に希望を見いだせる。われわれは無期雇用で、人材育成プログラムや昇格の人事制度を導入しました。社内報も発行し、つながりを意識しています。そのあたりに人情を感じてもらっているのでしょう」

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