融解する重層下請け構造 変わるゼネコンの現場 積年の慣習にメス
人手不足と再開発の活況は追い風か、いつか来た道なのか。
「付き合いのあった2次下請け業者が、仕事を従来の半分しか受けてくれなくなった」。大手ゼネコンから工事を受注する都内の鉄筋工事会社の社長は肩を落とす。「うちより支払いのよい業者に移ったようだ」(同)。
建設業の人手不足が深刻化している。2017年度の建設投資額は東日本大震災前と比較して3割以上増えた一方、建設業就業者数はピーク時(1997年)の約7割に落ち込んでいる。「バブル崩壊後の不況でどの会社も大幅に人を減らした。急に仕事が増えても対応できない」(北関東の建設会社社長)。その結果、冒頭のような人手の奪い合いがあちこちで起きている。
下請け構造の功罪
空前の人手不足がもたらしたのは熾烈な人材獲得競争だけではない。ゼネコンの下に下請け業者が重層的にぶら下がる、業界構造そのものを揺さぶっている。
大手ゼネコンを頂点とするピラミッド構造で成り立つ建設業界だが、元請けの主な仕事は工程や原価などの管理業務で、現場作業は専門業者に外注する。一方、下請け業者は人手や対応できる工事が限られるほか、「1次下請け業者の中には自社で工事をせず、ゼネコンの窓口として(2次以上の下請けの)契約や労務管理を代行するだけのところも少なくない」(都内の型枠業者)。1次下請け業者は仕事の一部をさらに別の業者に外注するため、契約関係が樹形図のように広がる。都内のマンション建設現場では、100社以上が携わるケースもある。
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