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相次ぐ乳牛の病死に困惑する福島の畜産農家 除染に伴う土壌のカリウム過剰が原因か?

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牛の病死が相次いだ畜産農家(相馬市)

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今、福島県内の一部の畜産農家で、牛の病死や流産が深刻な問題になっている。県北部の伊達市で65頭の牛を育てている菅野(かんの)伸一さん(57)も困り果てている一人だ。

「今年は特に流産が多い。今朝方で6頭目。どうしたらいいものだか。こんなことは初めてだ」

流産だけではない。成牛の病死も多発している。「死亡した牛は2013年が9頭、14年7頭、15年6頭、そして今年は11月までで5頭だ。福島第一原発の事故が起きる前の10年は高齢の牛を中心に5頭だった。事故後、若い牛も含め死亡頭数が増えている」(菅野さん)。

今年に入って流産が増えている理由として菅野さんが気にしているのは、エサを「自給飼料」(自家栽培の牧草)に切り替えたことだ。これまで一部の牛のエサは、自給飼料と購入飼料の比率が5対5くらいだった。だが、エサ代を少しでも節約しようと今年からほぼ100%を自給飼料にした。そうして育てた雌牛が「発情しにくくなり、受胎する率が下がってしまった」(菅野さん)。

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