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小池流企業進化論 ブラザーを変え続ける

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「家族主義」「愚直」を信条とするブラザー工業社長の小池利和。高く評価される手腕は100年企業の風土の中で養われた。新時代、ブラザーをどのように進化させるのか。

自宅でカタカタと音を立てて動くミシン。そのミシンに刻まれている文字は「BROTHER」だった。世代によってはそんな記憶が残っているはずだ。その製造元であるブラザー工業はミシンで会社の基盤を固めた後、大きな変身を遂げた。現在はファクスやプリンタ、その複合機など情報通信での売り上げが6割を超える、IT企業である。

事業の原点となった麦わら帽子製造用環縫ミシン(1928年)

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ブラザーは2016年で創業108年となる老舗企業だ。創業100年を目前とした07年に創業者一族以外で初の社長に就任したのが小池利和である。1979年の入社以来、20年超を米国で過ごしたという、ブラザーの中では異色の経歴を持つ。

ブラザーの名は情報通信機器のブランドとして浸透した。その立役者がいるとすれば、それは小池をおいてほかにない。ブラザーの現在地を象徴する人物が小池なのである。

得体の知れない複合企業の正体

小池本人が見るブラザーの姿は、「得体の知れない複合企業」だ。プリンタとファクス、コピー機能を1台にまとめた「情報通信複合機」を世界で初めて作ったのがブラザーだ。「単機能は儲からない」。80年代末から90年代初頭、小池が複合機を世に送り出した。それ以降、ブラザーは複合機のリーディングカンパニーとなる。

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