燃費データの改ざんが発覚した三菱自動車。過去のリコール隠しの反省はなぜ生かされなかったか。スリーダイヤのブランドは傷つき、信頼はまた地に落ちた。
「三菱はまだそんなことやっているのか」。都内の独立系三菱自動車販売店の店長は、3度目の裏切りにそう憤った。
三菱自動車が、車両の燃費データを恣意的に操作していたことがわかった。カタログには、正しく測定をしたものより5~10%よい燃費が掲載されていた。
2013年6月から生産する軽自動車「eKワゴン」「eKスペース」に加え、日産自動車向けに供給している「デイズ」「デイズルークス」の計4車種の不正が現在明らかになっている。対象車種の台数は三菱自向けで15.7万台、日産向けで46.8万台(16年3月末)。両社の販売店では、燃費不正の対象となった軽自動車の販売を中止している。
「不正が発覚した週の土日はまったく新規のお客さんが来なかった」と、同販売店店長は肩を落とす。鮮明に蘇るのは、00年代に2回にわたって生じたリコール隠しの記憶だ。当時も国内販売は「ダムが決壊した状態」(別の三菱自動車販売会社社長)となり、企業存亡にかかわる危機を招いた。
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