伊藤忠がタイの財閥と組んで中国の国有企業に1.2兆円を投資。日中タイの巨人連合はいかにして成立したのか。「異次元」の巨額投資を決断した岡藤正広社長への直接取材を交え、本誌だけが知る交渉の深層を明かす。
1月23日、香港中心部のホテル。伊藤忠商事の岡藤正広社長は、深い安堵感に包まれていた。社運を懸けた交渉がやっと実を結んだのだ。「ストレスが心臓に来て、2回も検査を受けた。もう、こんな交渉は金輪際やりたくないわ」(岡藤社長)。
岡藤社長と固い握手を交わしたCITICグループ(中国中信集団)の常振明董事長、タイのチャロン・ポカパン(CP)グループのタニン・チャラワノン(中国名は謝国民)会長も、長くタフな交渉を終えた高揚感を隠せずにいた。
伊藤忠がタイ最大の財閥であるCPグループと組み、中国きっての巨大コングロマリットであるCITICに1.2兆円もの巨額投資を行う。そんな、同社史上最大のディールが成約にこぎ着けたのだ。
CITICは傘下に中国1位の信託会社や証券会社、同7位の銀行などを抱え、金融を中心に事業を拡大してきた。伊藤忠が出資するのはCITICグループの中核子会社で、香港証券取引所に上場するCITICリミテッド(中国中信股フン)。最終的には、伊藤忠とCPが6000億円ずつを投じてCITICリミテッドの株式の2割を取得する。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら