Introduction ―イントロダクション―
日本企業にとっての「グローバル化」を問い直す
日置 圭介 デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー
国がなすべきこと
第二の創業という考え方が、グローバル対応を進める日本企業には必要と述べましたが、これを支え、グローバルで勝ち残る企業を増やすためには、「第二の通産モデル」も同時に必要ではないかと考えています。ご存知のとおり、通産モデルは、高度成長期を牽引した産官が一体となり産業を興し、発展させていった取り組みです。一見、時代錯誤かもしれませんが、これなくして多様化し、非連続な変化が起こる現在のグローバル環境への対応は難しいのかもしれません。もちろん、基本として、各企業間の自由競争を原則に民ががんばる、というのはあると思いますが、日本企業同士の下手な潰し合いを減らすためにも国をあげた国策が今の日本には必要なのではないかと思います。
グローバル化が深化した世界で、国家として何でどう食っていくのかという意志を示し、具体的なビジネスケースを構想することが期待されています。
今こそ、日本人の気概を見せる
成長分野という言葉が、日本ではとても受け身な印象になるのですが、そうではなく、リスクを見極め自らでそれを作っていくというビジネスの基本スタンスを取り戻す必要があります。そうでなければ、顧客や社会へ真に貢献することなどできません。長年手をこまねいてきた結果、致し方ないところまで来てしまったのです。
そして、日本国と日本企業を取り巻く危機的な状況を鑑みると、古来日本人が大好きな「神風」が吹き、何とかなったね、ということはこの度ばかりはないと思います。今はそれをどう行動に移すかが問われています。内輪で小競り合いをしたり、立ち止まったりしている余裕は、もはやこの国にはありません。グローバル社会で生きる日本人として、1人ひとりが気概を持って、共に難局に立ち向かいましょう。
[参考文献]
ⅰ)IMD“World Competitiveness Yearbook 2012.”