地方創生に必要なのは、稼ぐ民の力だ
【食】事業セッション 1
農林水産業と商業が生み出す、
新たな農山村漁村と都市の食ビジネス
勝川俊雄氏、久松達央氏、安井浩和氏
海外では儲かる漁業が、日本で衰退している理由について勝川氏は「漁獲規制で資源を残し、マーケティングで高く売る仕組み不足が問題。生産者が流通とタッグを組み、自分の産品の価値を再確認することが大事です」と訴えた。旬の農作物を直接顧客に届ける農業者の久松氏は「決済と物流の仕組みが整ったことで、小さなニーズを小まめに拾って積み上げる〝弱者の戦略〟が成り立つ。多くの農家にとって、これが唯一の生き残り策」と強調した。産直店を運営する安井氏は、6次産業化補助金について「補助が終わると、商品仕入れ、つながりも切れてしまう」と、再購入を望む顧客の信用まで失う問題を指摘。自店のお客をモニターに、一緒に売れる商品を作る取り組みを紹介した。
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【ファイナンス】事業セッション 2
金融が変える、地方の事業型まちづくり
石井宏治氏、北村佳之氏、小池政弘氏、岡崎正信氏
広島・尾道市を中心に、地元にしかないものにこだわって観光などの事業を始めた石井氏は「すんなり融資が得られたわけではないが、町のためであることを評価してもらえた」と振り返った。融資した側の広島銀行・小池氏は「地方へのコミットメントなしに地銀とは言えないという思いはある。担保保証に過度に依存せずに、事業の中身をしっかり見極めて融資したい」と語った。日銀で金融機関や自治体を対象にした公民連携セミナーなどを行う部門の北村氏は「公民連携は自治体の支出抑制、地元企業の事業拡大、地域金融機関の融資機会の拡大につながる」と新たな取り組みを促した。岡崎氏は「銀行の言葉、論理を勉強するのは借りる側のマナー」と、交渉に臨む際の留意点を語った。
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【地域医療・福祉】事業セッション 3
地方の新たな稼ぎとなる、医療・福祉事業
北原茂実氏、湖山泰成氏、飯田大輔氏
北原氏は、新興国に公平な医療供給システムを築くことで、日本の医療を輸出産業化、利益を生むシステムを目指す取り組みを説明。「いかにして人がよく生き、よく死ぬか、をプロデュースする総合生活産業としての医療」などの斬新な視点を提供した。全国各地で、美術館などを併設した医療介護施設を具体化している湖山氏は「アイデアと努力で地域の文化交流拠点を作っている。国が決めた医療介護の内容、報酬以外のところでは、地域に喜ばれるさまざまな取り組みが可能」と述べた。障害者福祉、養豚、食品加工を組み合わせた事業を行う飯田氏は「産業は分業化が進んできたが、地域の中では、さまざまな要素を組み合わせる複合化が大事。生活できる賃金が得られるような障害者の仕事を創出したい」と語った。
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