セミナーレポート

地方創生に必要なのは、稼ぐ民の力だ

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本物の地方創生とは何か――を探る「地方創生サミット」が8月、東京・千代田区で開かれた。金融、医療、食、ITといった民間の持つ力を地方創生にどう生かすか、稼ぐ地方のビジネスモデルなどについて、全国から集結した実践家たちによる熱気に満ちた講演、討論が始まった。

●主催:東洋経済新報社
●後援:エリア・イノベーション・アライアンス、新経済連盟、公民連携事業機構
●セッションサポーター:クラウドワークス、シトリックス・システムズ・ジャパン、シスコシステムズ、東洋SCトレーディング、富士ゼロックス、ヤフー、楽天、レノバ

来賓あいさつ
小泉 進次郎氏

衆議院議員 内閣府大臣政務官
兼 復興大臣政務官
小泉 進次郎

小泉氏は、岩手・葛巻町の第三セクターが、醸造したワインを売るために酒屋を1軒ずつ回ったという地道なシティセールスの話などを紹介。「これからの日本は大変な時代になりますが、まだできることはあるはず。地域で頑張る人が、知識、経験を共有してつながれば、大きな力に変わると思います」と、民の力で地方を盛り上げる動きに期待した。

講演&ディスカッション
地方創生のビジネスモデル、地方の自立
木下斉氏、 山口正洋氏、清水義次氏、岡崎正信氏

全国各地で地域活性化に取り組む事業者のアライアンス団体を運営する木下氏は「民間の経済活動があって行政が成り立つ以上、民の稼ぐ力は重要。行政から支援を得ようとするだけでは、地域を後の世代に引き継げないという危機感を抱いた人が立ち上がっている」と述べた。空洞化が進む地方市街地の空き物件を有効活用し、経済合理性のあるプロジェクトを提案するリノベーションスクールに携わる清水氏も「最もインフラ投資が行われ、たくさん稼ぐべき中心市街地、民間が疲弊している。放置された不動産という資産を使う必要がある」と訴えた。山口氏は、スポンサーの補てんなしで黒字を続ける地方球団を取り上げ「地元に根差し、全国区は目指さない。身の丈に合った経営を突き詰めたところに、神髄があると思う」と、東京のミニコピーにならない、ローカライズされたビジネスのあり方について語った。PPP(公民連携)による補助金に頼らない施設整備、オガールプロジェクトで、人口3・4万の岩手・紫波町に年間100万人が訪れる施設群をオープンさせた岡崎氏は「補助金は、現状から逸脱した事業をクリエイティブだと勘違いさせてしまう。地域のキャパを踏まえ、一歩だけ踏み出すことが大切。土地の安さを逆手にとれる地方だから可能なこともある」と述べた。

この後、4人がディスカッション。補助金で建てた不釣り合いに立派な施設の維持管理に苦しむ自治体といった過去のケースの繰り返しに、今の地方創生が陥ることへの危惧が示された。また、人を引き付ける魅力ある町になるための「食の価値」の重要性などについて語り合った。

地方再生人、内閣官房地域活性化伝道師
木下 斉
 
投資銀行家
山口 正洋
 
アフタヌーンソサエティ 代表取締役
清水 義次
 
オガールプラザ 代表取締役
岡崎 正信
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