セミナーレポート

地方創生に必要なのは、稼ぐ民の力だ

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サポーターセッション 4
ふるさと納税と地方自治体の出口戦略
池上輝幸氏、石角裕一氏

ふるさと納税への取り組みを始めた楽天の石角氏は「ふるさと納税は制度である以上、永遠に続くわけではないと考える」と指摘。制度廃止後を想定し、自治体が自走できるようになるためには「ふるさと納税でファンを獲得し、次回から対価を払って買ってもらう必要がある。リピーター獲得は、商品のストーリーが大切」と強調した。村に1本だけ残っていたとされる新種の柑橘類、じゃばらをネット販売して成功を収めた北山村は、今年度からじゃばらの拡販、村温泉施設の来場者増などを図ろうと、ふるさと納税に注力し始めた。じゃばらのEC経験が豊富な池上氏は「ふるさと納税を寄付者ではなく、非常に優良なお客様と見て、今以上に商品、サービスレベルを高めていきたい」と述べた。

和歌山県北山村 総務課主査
池上 輝幸
 
楽天 事業開発部 兼 店舗インキュベーション部 部長 ふるさと納税 プロジェクトリーダー
石角 裕一

サポーターセッション 5
地方発の再生可能エネルギー創生戦略
渡部伸仁氏、伊藤兵一氏、木南陽介氏、加藤健太郎氏

エネルギー自給率向上、温暖化対策・産業創出のために再エネの最大限導入を進めるエネ庁の渡部氏は、「地域との共生と再エネ人材のネットワーク化が必要であり、再エネという手段で、地域活性化を考えてほしい」と訴えた。地銀として再エネ産業による秋田の自立を考える伊藤氏は「秋田は再エネ資源に恵まれており、固定価格買取制度を使ったプロジェクトファイナンスで地域企業も参入可能になった。再エネを地場産業化すれば大きな産業になるはず」と期待。一部収益還元など地域に貢献する再エネ事業を全国展開するレノバの木南氏は「風力発電収益からの寄付を森林路網整備に使えば、バイオマス発電という次の展開が見える」と述べ、「人と情報を持つ企業と、良い事業・循環を生んでほしい」と訴えた。

資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー対策課 再生可能エネルギー推進室 室長
渡部 伸仁
 
北都銀行 専務取締役
伊藤 兵一
レノバ 代表取締役
木南 陽介
 
レノバ 環境イノベーション事業部 事業部長
加藤 健太郎

サポーターセッション 6
最先端コラボレーション
テクノロジーと新しい働き方が実現する真の地方創生
森本登志男氏

佐賀県 最高情報統括(CIO)
森本 登志男

森本氏は、インターネットと端末があれば、どこでも仕事ができる佐賀県のテレワーク環境を説明。「ワークライフバランスを改善し、親の介護や子育ての際に離職か、続けるか、という究極の選択に行く前に、働き方の選択肢を増やせる」と語った。外回り業務が多い県職員は、出先での報告書作成や、ビデオ会議を利用することで業務効率アップ。災害時や新型インフルエンザなど感染症流行時の業務継続力も増した。さらに、この流れを民間企業にも広げるため、人材派遣会社と組んで、トレーニングから仕事紹介まで行うテレワークセンターを開設。介護離職を迫られている九州出身者とその勤務先の企業を中心に、センターを利用した仕事の継続を働きかけ「離職なきUターンを実現したい」と述べた。

クローズドセッション

最後に、午前の講演&ディスカッションを行った木下氏、山口氏、清水氏、岡崎氏の4名が再び登壇。一日を終えた感想について、岡崎氏は「お金を調達して稼ぎに変えるコンテンツ作りのまちづくりへ、時代は変わったと感じる」。山口氏は「教育から金融機関まで、世の中がリスクをとろうとしなくなったと感じる。地方創生ではリスクをいとわないことが大事」と語った。清水氏は「少ない資金でセンスのあるものを作って稼ぐことが必要。財産のある人は、それをまちで活用できるようにしてほしい」と強調。木下氏は「参加者を見ると、社会全体が持続するような事業に取り組もうという人が着実に増えている」と結んだ。

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